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人口の都市への集中と土地需要の増加は、無秩序な市街地の拡散をもたらし、都市環境の悪化や公共投資の非効率化などを伴います。そのような土地利用の弊害をなくし、都市住民の健康で文化的な生活を保障するとともに、機能的な経済活動の運営を確保する制度の一つが、都市計画法に基づく開発許可制度です。
この制度は、一定規模以上の開発行為を行う場合に、知事または市長の許可が必要となるもので、開発行為に一定の水準を保たせることにより、良好な都市環境を維持するための制度です。新居浜市の場合、都市計画区域内で行う1,000平方メートル以上の開発行為、都市計画区域外で行う10,000平方メートル以上の開発行為に対して市長の許可が必要です。
許可が必要となる開発行為の規模 (新居浜市の場合) |
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都市計画区域内の区域 | 1,000平方メートル以上 |
都市計画区域外の区域 |
10,000平方メートル以上 |
開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設のために行う、土地の区画形質の変更をいいます。
建築物とは土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの等をいい、建築とは、新築、増築、改築または移転を指します。特定工作物とは、コンクリートプラントその他周辺地域の環境悪化をもたらすおそれのある工作物(第一種特定工作物)、ゴルフコースその他大規模な工作物(第二種特定工作物)をいいます。
区画形質の変更とは、公共施設(道路、下水道、公園、緑地、広場、水路、運河、河川、消防用の貯水施設)の整備を伴う土地利用形態としての区画を変更することや、切土や盛土等によって土地の形状を物理的に変更すること、農地や池沼を宅地にするといった土地の性質を変更することを指します。
したがって、1)単なる土地の分合筆、2)すでに宅地となっている土地について、既存の建築物の除却や、へい、かき、さく等の除却、設置が行われるにとどまるもので、造成工事や公共施設の設置を伴わないもの、3)建築物の建築または特定工作物の建設自体と不可分一体の工事と認められる、基礎打ちや土地の掘削等の行為、4)土地の利用目的が、建築物または特定工作物のためではないと認められる造成行為については、開発行為には該当しません。
建築物および特定工作物とは | ||
建築物 | 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの等 | |
特定工作物 |
第一種特定工作物 |
コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物(別表1)貯蔵施設など周辺地域の環境悪化をもたらすおそれのあるもの |
第二種特定工作物 |
ゴルフコース、1ヘクタール以上の運動・レジャー施設、1ヘクタール以上の墓園など |
建築とは | |
新築 | 全く建築物のない敷地に、新たに建築物を造ること。ただし改築に該当するものを除く。 |
増築 | 既に建築物のある敷地に、用途上不可分の関係にある建築物を新たに造ること。 |
改築 | 建築物の全部もしくは一部を除去したり、災害などによって滅失した後、引き続き、これと用途、規模、構造の著しく異ならないものを建てること。 |
移転 | 同一敷地内で建築物またはその一部を解体しないで、別の位置に移すこと |
区画形質の変更とは | |
土地利用形態としての区画の変更 | 公共施設(道路、下水道、公園など)の設置を伴う区画の変更 |
土地の形状の変更 | 切土や盛土等(造成工事)を行うこと |
土地の性質の変更 | 農地や池沼等、宅地以外の土地を宅地にすること |
一定規模未満の開発行為(新居浜市の場合、都市計画区域内で行う1,000平方メートル未満の開発行為、都市計画区域外で行う10,000平方メートル未満の開発行為)については開発許可が不要です。 また、農林漁業用の建築物、鉄道施設や図書館など公益上必要な建築物、国や県などが行う事業、非常災害のための応急措置、仮設建築物の建築などのために行う開発行為について、開発許可が不要となるものがあります。
(別表2)
開発行為許可申請の手続き
(1) 事前協議〈申請者から市へ〉 開発行為によって設置される公共・公益施設(道路、上下水道、公園、消防施設等)の接続先や設計等について協議を行います。協議先は、計画全般については建築指導課、道路については道路課、下水道については下水道建設課、上水道については水道局工務課、公園・緑地・広場については都市計画課、消防施設については消防本部総務警防課です。開発許可申請をされる20日前までに、土地利用計画、造成計画、給排水計画等の設計図面を揃えて、それぞれの関係課所まで事前協議にお越し下さい。
(2) 開発許可申請書の提出〈申請者から市へ〉
関係課所と事前協議が整ってから開発許可申請書を提出して下さい。農地転用を伴う場合は、農地転用許可申請日と同日申請となります。農地転用許可申請の締切り日は毎月15日頃です。
(3) 開発許可書の交付〈市から申請者へ〉 審査が終了すると開発行為許可書を交付します。農地転用を伴う場合は、農地転用許可日と同日許可となります。通常、申請日の翌月末~翌々月初め頃に許可されます。
(4) 工事着手届出書の提出〈申請者から市へ〉 開発行為許可書が交付されると工事に着手できます。着手するまでに工事着手届出書を提出して下さい。工事現場には開発許可標識を設置して下さい。
(5) 工事完了届出書の提出〈申請者から市へ〉 工事が完了したら、工事完了届出書を提出して下さい。なお、事前協議の際に中間検査が課せられた場合は、必要な段階で必ず中間検査を受けておいてください。
(6) 検査済証の発行〈市から申請者へ〉 工事完了検査を行い、許可どおりに工事が完了したと認められる場合には、検査済証を発行します。
開発許可を受けるには、幹線道路に至るまで所定の幅員以上の道路が続いていることが必要とされます。
住宅や二階以下の共同住宅の開発行為では幹線道路に至るまで幅員4メートル以上の道路が、三階以上の共同住宅用や住宅以外(工場、事務所、店舗など)の開発行為では幹線道路に至るまで幅員6.5メートル以上の道路が続いていることが必要です(小区間で通行上支障がない場合はこの限りではない。)
この条件を満たさない場所で開発許可を受ける場合は、この条件を満たすよう道路の拡幅や蓋かけを申請者の負担で行うことが求められます。
開発許可に必要な接続先の道路幅員 | |
住宅(二階以下の共同住宅を含む) | 幹線道路に至るまで4メートル以上の幅員 |
その他(共同住宅、事務所、店舗、工場等) |
幹線道路に至るまで6.5メートル以上の幅員 |
※ 10ヘクタール以上の開発の場合は、用途に応じてさらに広い幅員が必要となります |
平成16年5月14日に東予広域都市計画区域の線引き(市街化区域と市街化調整区域との区分)が廃止され、旧市街化調整区域は特定用途制限地域(ただし、農用地、保安林、農地法第5条第2項第1号ロに掲げる農地または採草放牧地の区域を除く)に指定され、開発行為についての規制が大幅に緩和されました。
特定用途制限地域の農地では、許可条件が整えば、建売分譲としての開発許可を受けることができます。ただし、宅地分譲としての開発許可は受けられません。また、農用地、保安林、農地法第5条第2項第1号ロに掲げる農地または採草放牧地の区域では、宅地分譲や建売分譲の開発許可は受けられません。
宅地分譲および建売分譲の開発 | 宅地分譲 | 建売分譲 |
・用途地域(旧市街化区域) ・特定用途制限地域(旧市街化調整区域)の宅地 |
可 | 可 |
・特定用途制限地域(旧市街化調整区域)の農地 ただし、農用地、保安林、農地法第5条第2項第1号ロに掲げる農地または採草放牧地の区域を除く |
不可 | 可 |
・農用地 ・保安林 ・農地法第5条第2項第1号ロに掲げる農地または採草放牧地 | 不可 | 不可 |
いずれの場合も許可条件が整うことが必要です。 |
開発区域に含まれていない土地は、開発道路に接していても建築基準法上の接道(道路に2メートル以上面した建築可能な状態)を満たすことにはなりません。開発道路が市道認定を受けている場合に限り、開発道路を接道として開発区域外の敷地に建築することができます。(後述の「公共施設の寄付および管理引継ぎ」は、市道認定とは別のものです)
開発道路が市道認定されていない場合、既存の開発道路を接道として開発区域外の敷地に建築するには、既存の開発区域も含めて、新たに全体で開発許可を受けることが必要です。
開発許可を受けた者が、工事完了公告前に申請内容を変更する場合は、市長の許可または届出が必要です。ただし、当初の許可と同一性を失うような大幅な変更は、新たに開発許可が必要となります。
開発許可を受けた開発区域内の土地では、工事完了公告があるまでの間は、建築物の建築や工作物の建設ができません。しかし、次のいずれかの場合に限り、市長の承認を経て、工事完了公告の前の建築や建設が可能となります。
※ 完了公告前の建築承認を受けた場合、完了検査の際には舗装が必要です。
いったん許可を受けた者が開発行為に関する工事を廃止したときは、その旨を市長に届け出ることが必要です。
用途地域等が定められていない区域(本市では都市計画区域外の区域)において、開発許可を受けた区域で建築物の用途を変更し、予定建築物以外のものとすることは制限されており、市長の許可が必要です。
開発許可に基づく地位の承継にあたっては、届出または承認申請が必要です。開発許可に基づく地位とは、許可を受けたことによって発生する権利と義務をいい、たとえば
開発許可を受けた者の一般承継人(相続人、合併後存続する法人、合併により新たに設立された法人)は、被承継人の開発許可に基づく地位を承継します。この場合一般承継人は、市長にその旨を届け出なければなりません。また、開発行為を行う意志がないときは、開発行為に関する工事の廃止届出をしなければなりません。
一般承継人でない者が、開発許可を受けた者から土地所有権その他工事の施行のために必要な権限を取得し、開発許可に基づく地位を承継する場合は、市長の承認を受けなければなりません。
新居浜市では、昭和54年以降の開発許可について、一定の事項を記載した開発登録簿を保管しており、建築指導課において閲覧することができます。また、開発登録簿の写しの交付が必要な場合は交付手数料が必要です。
建築基準法の確認済証の交付を受けようとする者は、その計画が都市計画法に基づく開発許可の規定に適合していることを証する書面の交付を求めることができます。
※本市では、線引き廃止により現在は発行しておりません。
開発行為により設置された公共施設(道路、下水道、公園)のうち、協議の際に定められた寄附の条件を満たしたものは、市に寄附することができます。
市に寄附された公共施設は、開発者と市の間で締結される管理協定に基づき、はじめの2年間は開発者により管理することとなります。2年経過後に市が検査を行い、破損等があれば開発者による修繕を済ませたうえで、市に管理が引継がれます。(寄付および管理引継ぎは市道認定とは別のものです)
開発許可申請の手引き2024.4改定 [PDFファイル/4.12MB] ※令和6年4月1日から
主な変更点 許可申請書(重要) 4 開発許可技術基準 第3章 排水施設
開発許可等申請手数料(新居浜市手数料条例) ※令和3年7月1日から改定。
開発許可申請時チェックリスト [Excelファイル/30KB]
愛媛県の開発許可制度
開発許可について(愛媛県ホームページ)<外部リンク>