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運送業御関係者 様
市民の皆様
この度、新居浜市内の小学校におきまして、長距離運転手のお子様に対し登校自粛を要請したことについて、御本人様及び御家族の皆様、御勤務先の皆様、運送業に携われております全ての御関係者の皆様に、不快な思い、御心痛、憤りを与えることとなりましたことを、新居浜市の行政及び教育をお預かりする者として、深くお詫び申し上げます。
つきましては、この書面をお借りいたしまして、今回の御相談の経過や反省、今後の取組等につきまして公表させていただきます。
1 経過及び反省について
この度の小・中学校再開に当たり、学校における現状を把握するために新居浜市教育委員会は(以下市教委)市内小・中学校全家庭を対象とした「学校再開に向けた児童生徒及び保護者の状況調査」を4月7日(火)に実施いたしました。
調査項目は、(1)感染が拡大している10都道府県(北海道、東京都、千葉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県、埼玉県、神奈川県、福岡県)及び海外への滞在歴、(2)各感染拡大地域在住の方との接触(近距離での会話、会食等)(3)ご家族の現在の体調の3つでございます。
この調査に対し、保護者が感染拡大地域へ仕事で滞在したり行き来したりしているが、保護者の体調には問題がないので登校してもよいかどうかという趣旨の問い合わせがございました。学校は判断に迷ったため市教委へ問い合わせました。市教委の担当者は、国の緊急事態宣言前であることから、「今回の出張場所を考えるとリスクが高いのではないか」との助言をいたしました。
校長は市教委の助言を参考にし、御相談のあった御家庭と電話で話し合いを行いました。校長は御家庭の状況を聞き取り、保護者が出張先や御家庭でも感染症防止対策を十分なされているとのお話を伺いました。しかし、国の緊急事態宣言前の感染拡大地域では感染リスクが日増しに高まっている現状や、感染した場合の御本人や御家族の状況等について説明し、翌日の登校を見合わせてはどうかと提案し、併せて帰県後から2週間は御自宅で様子を見られた方がよいのではないかとお伝え致しました。保護者からは「今の状況では仕方がない」とのお返事をいただきました。
翌日、教育長は校長及び市教委が判断した「自宅待機の要請」について把握し、「御本人及び御家族の健康状態に問題がなければ登校していただくという原則」に基づき、今回の判断は誤ったものであり即時訂正することといたしました。国が緊急事態宣言を発出する時期であり、市教委内で感染症リスク対応の一層の強化策を検討していたため、感染症予防に慎重になり、行き過ぎたリスク対応になってしまいました。対応の原則を誤ったために、4月8日(水)の入学式や始業式への参加ができなくなった児童並びに御家庭の皆様には心からお詫び申し上げます。
その後、教育長から校長に対し判断の間違いを伝え、校長は保護者に対してお詫びを申し上げました。
2 今後の対応について
4月9日(木)に新居浜市小中学校長研修会を開催し、保護者からの御相談への対応について児童生徒の登校に関する原則を再度確認を行い、新居浜市内において誤った判断や対応を繰り返さないよう、教育長から指示いたしました。また、現在新型コロナウィルス感染拡大の状況下におきましても万全の態勢で感染防止対策を遵守し、身を挺してお仕事をしてくださっている運送業御関係者の皆様をはじめ、あらゆる業種の方々に感謝し、尊重する教育を推進するように、再確認いたしました。このことに係る各学校の取組状況につきましては、教育長をはじめ、市教委担当者も学校を訪問し直接聞き取りを行うなど、感染症拡大防止対策の徹底と併せ、国難に際し新型コロナウィルスの脅威と対峙しているあらゆる業種の皆様に対する感謝を捧げる教育実践を見届けてまいります。
今回の出来事で深く心を傷付けてしまうことになった子ども達には、特に学校内において、感染症への不安や恐れから起こるいじめの対象とならないよう、児童の安全確保に努めてまいります。感染への不安から児童生徒の登校を遠ざけるのではなく、校内全ての児童生徒・教職員の感染拡大を防止するための意識や行動変容を推進し、いじめのない、誰もが安心できる学校づくりを推進してまいります。市教委も学校との情報交換を密にし、学校環境の整備や教育指導を通じ、ともに対象児童を全力で守ります。今回失われました掛け替えのない登校の機会を埋め合わせるべく、子ども達の心のケアに努めてまいります。
この度は御本人、御家族の皆様、並びに運送業界の皆様をはじめとする、危険を顧みず御尽力くださっている方々に対しまして、心よりお詫び申し上げます。この度は誠に申し訳ございませんでした。
新居浜市長 石川 勝行
新居浜市教育委員会教育長 高橋 良光