本文
平成25年度の始まりにあたりまして、現在の私の思いを管理職の皆さんにお伝えいたします。
昨年11月に市長に就任して以来、私は3つの再生を重点課題として掲げてまいりました。経済の再生、地域コミュニティの再生、そして市役所の再生です。
経済については、国政レベルで新たな経済支援策が講じられ、景気動向にはいくばくかの光明が見えてまいりました。これらの社会情勢を察知し、適切な対応を図っていくことが我々に求められております。住友各社をはじめ、地元中小企業、農林水産業の振興策について、当事者の考え方を聞き、何をなすべきかを共に考え、実践する市役所にならなければいけないと考えております。しかし、経済の再生は経済部単独の問題ではなく、社会資本の整備、環境施策など様々な行政分野に関わる問題であると認識をいたしておりますので、今回新たに設置いたしました産業戦略監を中心に、市役所全体で取り組んでいただきたいと考えております。
次に、地域コミュニティの再生についてです。これも同様で、単に自治会を活性化するだけの問題ではありません。地域の力を取り戻し、自立した地域、市民との関係をつくることを市役所ぐるみで目指してもらいたいのです。1つの例として、市民の健康づくりを挙げます。新居浜市の健康増進計画「元気プラン新居浜21」の最終評価が2月に出ました。この中で報告されている内容を見ますと、新居浜市の要介護高齢者数は、ここ10年間で1.5倍に増加し、一人当たりの医療費も年間26万円から36万円に増大しております。このことをどう捉えるべきか、高齢化が加速している状況ゆえに避けることができないことと捉えるのか、この状況に歯止めをかけるよう新たな戦略を練るのかで本市の将来は大きく変わると私は考えております。ここで大事なことは、市民にとって何が幸せなのかを真剣に考え、本当の幸せの実現を第一優先順位にした仕事をしていくことだと思うのです。現在、日本一の長寿県は男女とも長野県だそうです。以前の長野県は高血圧の多い地域で、決して健康優良県ではなかったのですが、地域医療の充実や保健師の訪問活動、住民の保健補導員や食生活改善推進委員の地道な取り組みが功を奏し、老人医療費も最も低い県になったと聞いております。
私は、本市の高齢者が生まれ育った地域でいくつになっても元気に安心して暮らすことができるようにしていきたいのです。そのための基盤が地域コミュニティ、住民の連帯感であると思うのです。これも、高齢者福祉だけではなく、環境や教育、防災など様々な行政領域にまたがるものであり、総合的に地域コミュニティの力を育んでいくことが大事だと思っております。如何にして地域の住民の皆さんと力を合わせていくか。そのことが大事になってきます。
そこで大事になってくるのが市役所の再生です。私はまずは、ここにおられる管理職の皆さんが率先垂範し、できることから意識変革を図ってもらいたいのです。残念なことですが、職員の接遇についての苦言を耳にすることがあります。その原因は些細なコミュニケーション不足によるものが多いようです。相手の立場に立って行動し、きちんと話に耳を傾けることができれば、市民の印象は大きく変わるはずです。市民の皆さんの意見に耳を傾け、今よりも少しでも前に進もうとする姿勢で対応していただければ、きっと市役所は変わるはずです。その3つの再生を今後の重点課題として取り組んでまいりますが、その推進に当たっては、縦と横のしっかりした考え方を持ってもらいたいと思います。
縦の考え方というのは、指揮命令、責任系統を確立させるということです。市役所という組織で仕事をしているのですから、どのような目的で、どのような目標を目指して今この仕事に取り組んでいるのかを職員みんなで共有していかなければなりません。係長には係長の、課長には課長の、部長には部長の果たすべき役割があり、その役割に応じた責任があることを肝に銘じ、仕事に取り組んでいただきたいのです。
横の考え方というのは、縄張り意識を取り除き、柔軟な感覚を持って、一緒に仕事に取り組むことで成果が上がることは、部や課の枠を超え積極的に力を合わせようということです。先日行われた3ゲン推進運動、業務改善の成果発表会で今年度取り組まれた各課所の改善事例を聞きました。日常業務の無駄を省き、効果効率性を高めようと取り組んでいる姿勢を高く評価いたしました。しかし、その中で感じた素朴な疑問が生じました。どうして同じような取り組みを異なる課ごとにバラバラに行うのかということです。地理情報システムを活用した改善では、建設部、水道局、教育委員会での取り組みが報告されました。個々別々でなく、それぞれが連携し力を合わせれば、より有意義な改善が図られるはずだと残念に感じたものです。これは、先ほど地域コミュニティの再生で話したことにもつながります。様々な切り口を持った課所が、その枠を超え、連帯感を持って対応するプロジェクトやワーキングチームを活用することも検討すべき課題であると考えます。
なお、私が公約に掲げた重点施策につきましては、準備期間の不足もあり、熟度が足りず、当初予算での事業化を見送ったものもございます。これらにつきましては、今後、補正予算で新規計上したいと考えておりますので、市民の皆さまの幸福度が高まる施策について、十分な議論を尽くし企画を練っていただくよう期待いたしております。
最後に一言、「為せば成る。為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」 この精神を大切に、今年度も職務に取り組んでいってもらいたいと願っております。
“経済”、“地域コミュニティ”、“市役所”この3つの再生。さらにはそれを支える責任感と連帯感を持って、笑顔輝く新居浜の実現に向けて、チーム新居浜で力を結集し、この1年前進していきましょう。よろしくお願いいたします。