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皆さま、新年明けましておめでとうございます。令和7年の「新年互礼会」にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
皆様には、輝かしい希望に満ちた新年を健やかにお迎えになられたことと、心からお慶びを申し上げます。
私は、昨年の市長選挙において、多くの市民の皆様からのご信託をいただき、第25代の新居浜市長として市政運営を担わせていただくこととなりました。身にあまる光栄でありますとともに、その重責と期待に改めて身の引き締まる思いであります。
さて、本年の干支は「乙巳(きのとみ)」でございます。干支は、甲乙で始まる十干と十二支の組み合わせで、全部で60通りですが、「乙」は「十干」の2番目にあたり、植物が殻を突き破り、芽を出す状態を意味するとされ、困難であっても紆余曲折しながら進むことや、しなやかに伸びる草木を表しています。「巳」は、脱皮を繰り返して成長すること、また、その生命力の強さから“再生”や“復活”を象徴すると言われております。
市政のかじ取り役として、初めての新年をスタートするにあたり、「乙」と「巳」の合わさる本年にふさわしく、過去の前例やしがらみなどに捉われず、古い殻を脱ぎ捨て、皆様と共に、本市を「新しい にいはま」にアップデートしていくため、全身全霊で取り組む想いを強くしているところでございます。
さて、昨年を振り返りますと、元日に発生した石川・能登半島地震をはじめ、日本各地で多くの自然災害が発生いたしました。愛媛県内においても、松山城城山での土砂崩れや宮崎県を震源とする震度6弱の地震による被害、そして、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、身近に迫る自然災害の脅威を感じる一年ではなかったかと思っております。
被災された各地の皆様に対しましては、心よりお見舞いを申し上げますとともに、今後、本市といたしましては、発生が危惧される南海トラフ巨大地震や大規模災害に備え、市民や企業・団体、行政による連携をこれまで以上に進め、地域が一体となった「防災能力の強化」に取り組み、まちの強靭化を進めてまいります。
また、昨年は、世界に影響を及ぼす国々で選挙が相次ぎました。特に、今月就任されるトランプ次期大統領が、アメリカをどのような方向に導くのか、世界が注視しており、与える影響も大きなものがあります。世界をけん引する国のリーダーとしての真価に期待したいと思います。
そうした中、国内経済に目を向けますと、昨年11月に、石破政権が総合経済対策を発表し、半導体や人口知能産業支援など約39兆円の経済対策を進めているほか、「地方創生2.0」の推進を打ち出しており、これらの諸施策は、国内で相応の効果をもたらすものと期待いたしております。一方で、今後、トランプ次期大統領が表明する貿易相手国への高い関税政策が実行されると、私たちの身近な生活にも大きな影響を及ぼすことが考えられますが、私は、本市が本来持つポテンシャルを生かした「地域経済の活性化」に、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
そのためには、私自らが先頭に立つトップセールスを行い、長年にわたり地域経済を支えていただいている住友諸企業との更なる連携強化とともに、四国トップクラスのものづくり産業を中心とした経済基盤に、新たな多様性と付加価値を加える取り組みの展開と、これまでと異なる視点も含めた人材確保等支援施策の検討などを進め、地域経済力の底上げと持続的発展を目指してまいります。
そして、私の思い描く「新しい にいはま」の実現にあたっては、人口減少に対する取組みが欠かせないと考えております。人口減少は、全国的な課題ですが、特に、地方都市における影響は由々しきものがあると感じており、こうした状況を踏まえ、「子育て支援」の充実を図り、本市の将来を担う子どもたちの育成と、若い世代が安心して暮らせる環境づくりを推進してまいります。
私は、子育てしやすいまちとしての独自性を確立することは、新居浜で住みたい、住み続けたいと感じていただく、まちづくりの基盤になると考えています。そして、子育て支援は、決して、子どもや子育て世代のみが恩恵を享受するものではなく、バリアフリーをはじめ、時代に即した利便性の高いインフラ環境は、高齢者や障がい者など、様々な立場の方々にとっても暮らしやすいまちにつながるものと思っております。
昨年末には、新居浜南中学校の男女駅伝部が全国大会で活躍されましたが、若い世代が輝き、活躍することは、まち全体の盛り上がりや地域の活気に繋がるものだと考えております。
また、同時に、想定を上回るスピードでまちの人口が減少する中、持続可能なまちの未来図を描いていかなければなりません。これまでの常識にとらわれない視点で取り組むことで、社会変動に即した発展を目指したいと思います。
以上、申し上げました「防災能力の強化」、「地域経済の活性化」、そして「子育て支援の充実」の3点を私の政策の柱として、今後、全力で取り組んでまいる所存でございます。
また、これまでまちづくりに参加できていなかった市民や、将来の新居浜を担う世代等も含め、より幅広い各層の方々に市政を身近に感じていただけるよう柔軟な形態を検討していくほか、私自身も必要に応じて現場に足を運び、特に女性、若者、ハンディのある方をはじめとする皆様にご意見を伺いながら、「対話」を基本とした市政運営を推進してまいります。
新型コロナウイルスへの的確かつ迅速な対応で、世界的に注目された台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タン氏は、インタビューで、「今の時代に必要なのは、多様性を認め合いながら協調することだ」と話し、その協調は、「共通の背景を持つ公共性でこそ発揮されやすい」と述べています。
“新居浜をもっと良くしていく、そして、しっかりと次の世代へ繋いでいく”、そうした共通の目標認識があれば、「対話」を育むことが可能だと私は信じています。たとえ意見がぶつかり合っても、それをコミュニティの成長や行動規範を整えていく原動力にしていかなければなりません。
違いを排除し、対立を深めるのではなく、多様な立場をお互いに理解し合うことで、「切り離すことのできない共通の価値観」を地域で作り上げていく。そうした考えに基づく、対話とコミュニケーションを通じ、この大きな時代の変化に挑戦していきたいと思っております。
私の夢は、本市の限りない発展であります。
そのためには、本市が誇る自然や文化、産業、別子銅山の歴史などのあらゆる地域資源を活かし、市民、企業、団体、議会、行政等が、分野や業種を超えた連携を積み重ねていくことが不可欠であります。
本年4月に開催を控える「大阪・関西万博」に出展される「住友館」は、愛媛県の「住友の森」の樹木を活用し、別子の山々が連なるシルエットに着想を得て整備されたと伺っております。また、そのシンボルマークは、別子銅山の発展を礎に、多様な成長を続けるグループ会社の未来への可能性を表現されていると伺いました。
本市の歴史を振り返りますと、そこには、地域社会と産業、そして自然が共存共栄で発展してきた唯一無二の轍が残されています。そして、私たちの前には、輝く未来が拡がっています。
この地で先人が刻んできた業績を大切にしながら、このまちが本来持つポテンシャルを最大限に引き出し、これからの時代にふさわしい形にアップデートしていくことで、私たちも未来への可能性を拡げ、夢や希望を持てる「新しい にいはま」を作り上げていく覚悟であります。私自身、学ぶべきことが多い中ではありますが、未来へと繋がる道を、皆様と一緒に切り開いていく所存でございますので、どうぞ引き続きのご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
そして、先ほども申し上げましたが、「大阪・関西万博」がいよいよ開幕となります。5月には、新居浜太鼓台を派遣し、本市の魅力を発信してまいります。また「人と森とあらゆるいのちが響きあい、調和する、ゆたかな未来を見つける旅」をコンセプトとした「住友館」をはじめ、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした会場には、様々な未来社会の姿が描かれます。明日をになう子どもたちにとって、未来の空気を吸い込む、かけがえのない経験になると思われますので、子どもたちをはじめ、より多くの市民の皆様に足を運んでいただきたいと思います。
結びになりますが、2025年が、本日ご参会の皆様をはじめ、市民の皆様にとって、希望に満ちた幸多い年となりますことをご祈念申し上げまして、私の年賀の挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年1月6日
新居浜市長 古川拓哉