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新年明けましておめでとうございます。令和6年の「新年互礼会」にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
まず初めに、この度の能登半島地震におきまして犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興をお祈りいたしますとともに、本市といたしましても関係機関と連携のうえ、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
さて、皆様には輝かしい希望に満ちた新年を健やかにお迎えになられたことと、心からお慶びを申し上げます。
皆様ご存じのとおり、今年の干支は「甲辰(きのえたつ)」でございます。「甲(きのえ)」は「十干(じっかん)」の始まりにあたり、生命や物事の始まりを意味し、「辰」は草木が伸長し形が整い活気にあふれる様子を表すと言われております。
早いもので、私が新居浜市の舵取り役を担わせていただき12回目の新年を迎え、第3ステージの任期も残すところ11カ月ほどとなりました。
「甲(きのえ)」と「辰」の合わさる新年にふさわしく、公約に掲げた7つの夢をしっかりと実現し、是非とも皆様と共に本市の今後の成長を形作る、集大成・総仕上げの年としたいとの想いを強くしているところでございます。
昨年を振り返りますと、3年余りもの長きにわたり猛威を振るった新型コロナが、5月に感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、その後の対策は事業者や個人に委ねられることとなりました。
移行から半年が経過し、観光需要の高まりなど、社会経済活動の正常化が鮮明となり、早くから大きな影響を受けた飲食業界においても、外食売上高がコロナ禍前の水準を超えるなど、前向きな経済指標も報告され、次第に「コロナ禍前の日常」を取り戻しつつあります。
しかしながら、未だ終息の兆しが一向に見えないロシアによるウクライナ侵攻、混迷化する中東情勢など、地政学的リスクにより世界中の物流が滞り、さらに急速な円安等も加わり、ガソリン、電気、食料品など、幅広い分野で価格が高騰し、世界情勢の影響が着実に我々の日常生活にも及んでいることを実感させられた一年ではなかったかと感じております。
一方、大変うれしい話題もございました。
昨年6月、東洋経済新報社が発行した「都市データパック2023」の住みよさランキングにおいて、新居浜市が愛媛県内1位の評価をいただくことができました。
このランキングは、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」の4つの視点を基に算出されたものと伺っておりますが、今回のランキングで、本市は3年連続で県内1位の評価をいただくことができました。
市民の皆様はじめ、関係各位から格別のご支援ご協力を頂きながら、これまで取り組んできた各種施策が着実に実を結びつつあるという手ごたえを感じ、大変有難く嬉しく感じております。
続きまして、本市の今後の主要な取り組みについてでございます。
先ず、「持続可能なまちづくり」の推進でございますが、現在、本市では市の最上位計画である「第六次長期総合計画」に掲げる全ての施策を、SDGs17の項目に関連付けております。これは、市があらゆる施策を通じSDGs達成に寄与していくといった確たる決意を示しているものでございまして、市民の皆様と埋念や意識の共有を図り、皆様と一丸となって、「持続可能なまちづくり」への取組みを推進してまいりたいとの考えからでございます。
一昨年の「SDGs未来都市」選定を契機とし、お陰様で昨年6月には更なるSDGsの推進を見据えた「新居浜市SDGsプラットフォーム」の活動を開始することができました。現在、100を超える団体、企業等に参画いただき業種の垣根を越えた連携による、新たな課題解決型プロジェクトがスタートしております。
また、昨年9月には西日本の港湾では初めて、港湾法に基づく計画となる「新居浜港・東予港(東港地区) 港湾脱炭素化推進計画」を策定することができました。今後一層、産学官の連携により港湾地域における脱炭素化を促進するとともに、次世代エネルギーの供給拠点施設の整備など地域産業の発展を目指してまいります。
次に、四国においてトップクラスの出生率を維持する子育て支援についてでございます。
本市では、第2期新居浜市総合戦略において、「結婚・出産・子育て支援の充実」を基本目標の一つとして掲げ、県内で初めて子ども医療費の助成を18歳まで拡大するなど、各種施策の展開を図っております。昨年は、イオンモール新居浜との連携による新たな子育て支援拠点の開設や、不妊治療に関する助成制度の拡充などを進めてまいりましたが、今後においても、この新居浜の地で安心して子供を産み育てることができる環境づくりを積極的に進めてまいります。
次に、市民の生活を支える都市基盤の整備についてでございます。
現在、「国道11号新居浜バイバス」の西喜光地から本郷までの区間と、関連する県道新居浜港線のJRアンダーパス工事が今年春の開通を目指し、鋭意工事が進められております。幹線道路の整備は交通利便性の向上のみならず、物流の効率化による地域経済の活性化、災害時の緊急輸送道路の確保など、多様な効果が期待できますことから、引き続き幹線道路の整備促進に努めてまいります。
また、施設整備に関しましては、現在、「新市民文化センターの建設」について、中央公園を含めた再整備の検討を進めているほか、本年9月には、四国最大規模の食数を誇る「(仮称)西部学校給食センター」が供用を開始する予定であり、災害時には炊き出し拠点としての活用も可能な施設となっております。
次に、より多くの方々に新居浜の良さを知っていただく取り組みについてでございます。
本市では、昨年より、愛媛県・西条市と連携して新居浜市出身で第4代国鉄総裁を務め、「新幹線の父」と言われている十河信二さんと妻のキクさんをモデルにした「NHK連続テレビ小説」の誘致活動に取り組んでおります。
ドラマ化が実現すれば、本市の知名度向上や誘客促進など大きな効果が期待できますことから、本年もしっかりと連携しながら精力的に要望活動に取り組んでまいります。
更に、来年に開催を控えた「大阪・関西万博」についてでございます。
万博では、パビリオンとして、「住友館」が愛媛県の 「住友の森」の樹木を活用して整備され、世界各国から訪れる来場者に、「植林体験などを提供」されるとお聞きしております。
本市といたしましては、100年以上も前に先人達が取り組んだ「別子銅山の環境対策」や、輝かしい本市発展の歴史の中にみられるSDGsの側面、そしてさらに四国の山々をイメージしデザインされた「住友館」の前で、豪華絢爛、勇壮崋麗な「新居浜太鼓祭り」を披露することができれば、その相乗効果により本市の魅力を余すところなく世界中に発信することができるのではないかと、大いに期待しており、是非とも太鼓台の派遣を実現したいと考えております。
きて、今年は、実に20年ぶりとなる「新紙幣の発行」が発表されており、一万円札の肖像は、渋沢栄一に変わります。渋沢は天保11年(1840年)に、農家の長男として生まれ幕末から維新へと突き進む激動の時代に翻弄されながらも、今日、「近代日本経済の父」と称されるに至った実業家でございまして、「モラルのない経済活動は、一時的にうまくいっても、信用を無くしてしまい長続きはしない。私利私欲に走るのでなく公の利益、公利・公益を最優先し、社会全体を豊かにするべきである」といった信念を生涯貫き、実践した人物でございます。
この思いは、住友グループの事業精神である「自利利他 公私ー如(じりりた こうしいちにょ)」にも通じるものがございますが、渋沢のこの固い信念の根底には幼少期に学んだ「論語」の精神(忠恕のこころ、まごころと思いやり)があるといわれております。
近年、温室効果ガス削減が一向に進まない影響で、世界中で猛暑や熱波、山林火災等が相次ぎ気候危機が深刻化しております。更に、ウクライナや中東紛争などをめぐり世界の分断が続いており、食料、災害、健康、紛争など、様々な面で危機が声高く叫ばれております。
今後、ますます混迷化するであろうグローバリゼーションの中で、もはや、これまでのような経済や社会の合理性と効率性だけを追求することにより、社会の持続的発展を実現していくことは大変困難な状況となっております。
私は、このような時代だからこそ渋沢の言う公益性の中での合理性や効率性の追求、そして、それらのバランスを持った地域づくりが必要不可欠であると確信いたしております。
これからの歴史的変革期の中で、変化の流れをしつかりとつかみとり、苦しいコロナ禍から得た多くの経験、教訓を活かしながら、「まごころと思いやりの心」をしっかりと胸に、今年一年、公約の実現、総仕上げに向け全力で取り組んでまいりますので、皆様方におかれましては、引き続き絶大なるご支援、ご協力を切にお願い申し上げる次第でございます。
結びになりますが、2024年が、本日ご参会の皆様をはじめ、市民の皆様にとって、希望に満ちた幸多い年となりますよう心よりご祈念申し上げまして、私の年賀の挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和6年1月4日
新居浜市長 石川勝行