この地方では、古くから新築の棟上げに餅を投げる風習がある。 西松木(今の中村松木)に田村さんというお金持があり、この家では新築棟上げに小ウシを投げたという話が語りつがれている。 もちろん、小ウシを餅がわりに投げたわけでなく、投げ餅の中に木札などの標識を入れ、その餅を拾った人に景品として小ウシを出したというもので、当時その豪勢さに近隣の人々が驚いたという。 この餅を拾って小ウシを獲得したのは、阿波のお遍路さんで、大喜びをしながらウシをひいて帰ったという。 この話は明治中頃のことであるとか。 (中萩 松本俊清 記) |