神郷の松神子にある明教寺にとっても力持ちのお坊さんがいた。ずばぬけて力が強かったので、伊予の鬼坊主ともいわれたそうです。 ある時、寺の鐘撞堂の修理をすることになり釣鐘をどのようにしておろすかと門徒がおおぜいよって評定をしていた。なかなかよい方法が頭に浮かばずわいわいいっていた。そこへ力の強い坊さんがやって来てひょいと釣鐘を持ち上げ吊り金から鐘をはずして下に置いて衣の裾をはたいて門徒衆の前に立った。それまで住職が力持ちだということは知っていたが改めて住職の大力に感心した。 また、大阪へ半鐘を買いに行って、(門徒総代と共に)約束の半鐘と違う半鐘を鐘商人が売りつけようとしたのを、半鐘を片手で持ち上げて中を改めたので、鐘商人がびっくりして約束の鐘を出して許してもらったこともあった。 誰いうこともなしに伊予の鬼坊主というようになった。 (明教寺の門徒から聞いた話の要約) |